I Can't Give You Anything But Love




Gee but It's tough to be broke, kid
It's not a joke, kid, it's curse
My luck is charming, it's gotten
From simply rotten to something worse
Who knows someday I will win too?
I'll begin to reach my prime
Now though I see what our end is
All I can spend is just my time
(That's why)

I can't give you anything but love, baby
That's the only thing I've plenty of, baby
Dream a while scheme a while
We're sure to find
Happiness and I guess
All those things you've always pined for
Gee, I'd like to see you looking swell, baby
Diamond bracelets Woolworth doesn't sell, baby
Till that lucky day
You know darned well, baby
I can't give you anything but love



ドロシー・フィールズ作詞、ジミー・マクヒュー作曲、1927年の作品です。初めは「Delmar's revels」というショーに使われましたがヒットせず、2週間で幕を閉じたそうです。しかし翌28年、ブロードウェイで黒人だけのレビュー「Blackbirds of 1928」に挿入され、ヒットしました。続けて30年、33年、39年と上演されましたが、28年のが一番成功したそうです。この曲の誕生エピソードが面白いです。あるときこの二人、ニューヨーク5番街を歩いていましたが、ちょうど有名な宝石店「ティファニー」の前を通りかかった時、偶然ある光景が目に入りました。若い男性が連れの女性に話しています。”Gee、honey、I can't give you nothin' but love”と言っているの耳にしたジミー・マクヒュー、近くにあった楽器店に飛び込み、そこのピアノを借りて一気にこの曲を書き上げたということです。

レナ・ホーン、ビリー・ホリデー、エラ・フィッツジェラルド、ドリス・デイペギー・リーダイアナ・クラールなど多くの歌手が歌っていますが、他にはサラ・ボーンがライブでスキャットのりのりで歌っていますし、アン・バートンはバースから歌いしっとりとしたバラードに仕上げています。サッチモ、ベニー・グッドマン、アール・ハインズ、ソニー・スティットらの演奏もよく聴かれています。

この曲、邦題で「捧ぐるは愛のみ」なんてちょっと時代がかったタイトルになっています。先ほどのカップルではないですが、本当はこのティファニーで売っているような宝石の一つでも買って彼女の喜ぶ顔が見たい…なんて思っていても、あまりにも高価で手が届かないもどかしさ。それってよく分かりますよね。気持ちは溢れるほどあるのに、経済力が愛情に追いつかない…ってこと。本来愛の世界にそんなもの必要なのって議論もあるでしょうが、現実となるとなかなか厳しいようで…。

しかし、若いときは誰でも夢に向かって真っしぐらに進んでいくなかで、(だから「夢中」って言葉があるんでしょうね)だんだん夢が実現していく。そうした気力・体力・時間という金のかからない”財産”をフル活用して一歩一歩夢に近づいていく。買い物だってスーパーのバーゲンから始まって、専門店、百貨店へと段々レベルアップしてくることにもなる。
Gee, I'd like to see you looking swell / Diamond bracelets Woolworth doesn't sell と言っていますが、Woolworthというのはアメリカの安売りデパートのことで、そんなところには売っていないような高級なダイヤのブレスレットをつけさせてあげたいという素直な気持ちが綴られており、それを実現させる原動力となるのが「愛」なのででしょうね。だから無限の可能性を秘めた「愛」を前面に打ち出して I can't give you anythin' but love と唯一最強の切り札を切ってしまいましたが、言われた彼女が I am willing to wait / I'll adore you、come what may (Verse2)と言ってくれたので、この曲は最高の結末にになっている訳ですね。




最近、日本女性の間で大ブレークした「冬のソナタ」を私も観ていました。色んな名場面が多いドラマでしたが、その中でひとつ、ユジン(ヒロイン)のお母さんが、若い頃お父さんと手を繋いで家の周りを歩き続けた話をユジンにしていた場面が記憶に残っています。死んだお父さんのことを今でも愛してる?とユジンに聞かれて、思い出すように話すその顔はとても幸せそうで、二人の愛が確かなものであれば、一緒に歩くだけでもうれしいものなのよと言葉でなく、思い出話として話して聞かせるシーンはとても印象的でした。そしていつまでも消えることのない愛の強さを教えていたのです。

愛なしに人は生きられない。でも、愛だけで人は生きられない。それがわかっていて、なお…、愛だけで生きてみたいと思うのが人???








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