April in Paris



April in Paris chestnuts in blossom
Holiday tables under the trees
April in Paris this is a feeling
No one can ever reprise

I never knew the charm of spring
Never met it face to face
I never knew my heart could sing
Never missed a warm embrace, till

April in paris, whom can I run to
What have you done to my heart?


作曲ヴァーノン・デューク、作詞エドガー・イップ・ハーバーグの1932年の作品。レビュー『Walk A Little Faster(もっと速く歩け)』 のために書かれた曲ですが、当時はヒットせず、後にブルース歌手のマリアン・チェイス(Marian Chase)がクラブで歌い、ヒットして有名になりました。作詞担当のハーバーグは当時まだ パリに行ったことがなく、そのためパリに詳しいデュークが先に曲を作り、それを聴きながらパリを想像して詞を書いたというエピソードがあります。1952年、ドリス・デイ主演の映画『エイプリル・イン・パリ』でも主題歌として使われました。

ヴァーノン・デュークは本名ヴラジーミル・アレクサンドロヴィチ・ドゥケーリスキー、1903年当時のロシア帝国ミンスク省生まれ。キエフで育ち、11歳でキエフ音楽学校に入学。作曲を学びます。1921年渡米してショー音楽をやった後は、イギリス・フランスに渡ってバレエ音楽を手掛けたりしていましたが、1929年再び米国へ戻り、ジョ ージ・ガーシュインに見出されてから本格的にレビューやミュージカルの世界で才能を発揮するようになりました。代表作品には、「April In Paris」のほかに「I Can't Get Started」「What Is There To Say」「Autumn in New York」などがあります。

作詞のエドガー・イップ・ハーバーグは1896年ニューヨーク生まれ。この曲のほか、「Over the Rainbow」「It's Only a Paper Moon」「Old Devil Moon」などの曲を作詞しています。「Over the Rainbow」は1939年のアカデミー歌唱賞を受賞しています。

この曲の代表的な演奏となると、まずカウント・ベイシーの演奏ということになるのではないでしょうか。ブラスセクションの重厚なアンサンブルとスイング感でいかにもベーシー スタイルのパリの四月に仕上がっています。トランペット・ソロのサド・ジョーンズのプレイも最高で、この曲のハイライトとなっています。またエンディングではベイシーの掛け声 "One More Time"で一回、さらに"Let's Try One More Once"で合計3回の繰り返しで盛り上がるというアレンジもこの曲ならではの定番スタイルとなっています。

ベイシー以外の演奏では、チャーリー・パーカー、セロニアス・モンク、バド・パウエル、
ベニー・ゴルソン、サド゙・ジョーンズ(『ザ・マグニフィセント』)などが有名ですが、ボーカルでは、ビリー・ホリデイ、フランク・シナトラ、ダイナ・ショアサラ・ボーン(ウィズ・クリフォード・ブラウン)、エラ・フィッツジェラルド(ウィズ・ルイ・アームストロング)、ドリス・デイメル・トーメ、ジューン・クリスティなど多くの歌手が歌っています。ベイシーの演奏があまりにも有名で、アップテンポの陽気な曲のイメージが強いのですが、ベイシー以外の演奏や歌を聴くとスロー・バラードとして取り上げられることが多く、もともとしっとりとしたバラード系の曲であったことに気付かされます。






パリの四月、マロニエは花咲き
木々の下には休日のテーブル
パリの四月、この気分
誰も他では味わえない

私は春の魅力を知らなかった
それに触れることなんてなかったもの
私の心が歌えるなんて気がつかなかった
暖かい抱擁が恋しいとも思わなかった
パリの四月を味わうまで・・・

パリの四月よ、
私は誰の元に行けば良いの?
あなたは私の心に何をしたの


という何ともお洒落でロマンチックな内容の歌詞です。何となくアメリカ人のパリに対する憧れ的なイメージが膨らんで出来たようなホンワカした歌であり、メロディーであると 思います。ベイシーのあのノリノリのエンディングはいかにもアメリカナイズされていますが、ここにご紹介させていただいたボーカルでは、どの歌手もバラード風にしっとりと歌っていて何とも心地よい感じがします。ベイシーのあの明るさとはまた違う優しさとか懐かしさといったものが感じられ、まったく別の曲のような雰囲気を醸し出しているのはちょっと不思議な気がします。パリへ行ったことがある人だけでなく、一度も行ったことがない人も、多くの人の心に共通するパリへの思いを巧みに表現している曲だと思います。

しかしベイシースタイルで音を出す側としては、これほどストレス発散できる曲もありません。出だしもそうですが、エンディングに至ってはfが3つくらいついた最強のフォルテッシモ(フォルテッシシモ?)で頭の血管が切れるくらい思い切り吹いていい、というか、吹かなくてはならないのですから、(トランペットを)吹いていてこれほど気持ちのいい曲はありませんでした。学生時代の思い出です。(笑)




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