

You must remember this, a kiss is still a kiss
A sigh is just a sigh
The fundamental things apply as time goes by
And when two lovers woo,they still say "I love you"
On that you can rely
No matter what the future brings as time goes by
Moonlight and love songs never out of date,
Hearts full of passion Jealousy and hate,
Woman needs man
And man must have his mate
That no one can deny
Well, it's still the same old story,
A fight for love and glory,
A case of do or die,
The world will always welcome lovers
As time goes by
1931年、ハーマン・ハブフェルド作詞・作曲。言うまでもなく、映画「カサブランカ」の主題歌としてバックに流れていた曲で、
ドゥリー・ウィルソンが歌っていました。その後はビリー・ホリデー、カーメン・マクレイ、ペギー・リー、ジュリー・ロンドン、フランク・シナトラ、サリナ・ジョーンズ、ナタリー・コールなど多くの歌手が歌っています。インストでもケニー・ドリューはじめ多くのアーティストに演奏されていますが、私の好きなフランスジャズ界のスター、バルネ・ウィランの演奏も聴き逃せません。
映画ではあの渋い俳優、ハンフリー・ボガードの印象がやけに強く残っています。勿論、イングリッド・バーグマンも当時の大女優として存在感を示していましたが
、この映画に関しては何故かボガードの一人舞台といった感じで、そこにこの「時の過ぎ行くままに」という何とも人生の重みを感じるような、
ごっつい詩が実によくマッチしてカッコよくなってしまうんですよね。
このタイトルはよく「時の過ぎ行くままに」などと訳されていますが、実は大誤訳としても知られています。どんなに時が経っても二人の恋は変わらないという意味合いで使われているので、「時の過ぎ行くままに」では確かに逆の意味になってしまいますね。でも曲の雰囲気としては「時の過ぎ行くままに」がぴったりの曲想なので、あまり固いことは言わなくてもいいのかも知れません。そう、時の過ぎ行くままに、人はそれぞれの人生を歩んでいく。駆けていく。
光陰矢の如しとよく言われますが、本当に実感するのはいつのことでしょう。でも歳を重ねるにつれ一年というスパンが段々短くなってくるのは否めません。でもこれは数学的にいっても正しいようです。何故なら、10歳の子供と50歳の大人を比べてみると、同じ1年でも10歳の子供には10分の一、
それに比べると50歳の大人にとって1年は50分の一でしかないからです。
かくいう私も50を過ぎ、1年の経つのが速いこと速いこと!本当にあっという間です。そして自分にとってほんのちょっと前の出来事が実はもう何年も前だったりする事が分かった時、
あぁ、もうそんなに経っちゃたのと改めて時の流れの速さ、確実さ、無情さを感じてしまいます。
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数年前の夏、上野の美術館で明治時代の画家、小林万吾の「物思い」という作品を観ました。
まだあどけなさが残る浴衣姿の乙女がちょっと物憂げに遠くを見つめ、なにか思いつめたように見えるその表情がまるで今そこにいるように生き生きとしていて
思わず惹きつけられてしまいました。
美しいその顔を見ているうち思わず私はハッとしてしまいました。今、私は彼女と同じ空間にいる。美しい彼女に惹かれている自分がここにいる。
でも、それは1907年に描かれた彼女であることに気付いた時、私は愕然としました。そうです。今目の前にいる美しい女性は確かに存在していました。96年前に!
今生きていれば110歳以上の老女。時の流れのなんと無情なことでしょうか。そう思ったとき私は思わず涙がこぼれそうになり、しばらくその場を離れることができませんでした。
時の過ぎ行くままに…

