But Not for Me
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Old man sunshine listen you
Don't tell me dreams come true
Just try it and I'll start a riot
Beatrice Fairfax don't you dare
Ever tell me he will care
I'm certain it's the final curtain
I never want to hear from any cheerful Polly-Anna's
Who tell you fate supplies a mate - it's all bananasThey're writing songs of love but not for me
A lucky star's above but not for me
With love to lead the way
I've found more clouds of grey
Than any Russain play could guarantee
I was a fool to fall and get that way
Heigh ho! Alas! And also, lack-a-day
Although I can't dismiss the mem'ry of his kiss
I guess he's not for me
ガーシュイン兄弟が音楽を手がけた30年のミュージカル「Girl crazy」の挿入歌(作詞アイラ・ガーシュイン、作曲ジョージ・ガーシュイン)ですが、今ではもうすっかりスタンダードになっています。ジンジャー・ロジャース演じる女性郵便局長によって恋人同士の喧嘩の後に歌われたラブ・バラードです。59年、クラーク・ゲーブル主演の同名映画ではエラ・フィッツジェラルドが歌い、同年彼女はこの曲でグラミー賞・最優秀女性歌手に選ばれています。その他のボーカルでは、ソロでピアノの弾き語りを聴かせるカーメン・マクレエ、オランダ人女性歌手のアン・バートン、ビリー・ホリデイ、ジュリー・ロンドン、サラ・ボーン、ローズマリー・クルーニー、それに中性的でソフトな声が魅力のチェット・ベイカーなどなど…、多くの歌手が歌っています。で、この詩の中身ですけど、≪たくさんの人が愛の詩を書いているけど、わたしのためじゃない 空には幸運の星が輝いていても、わたしのためじゃない 恋に導かれていきたいのに、黒雲が邪魔をする ロシア悲劇よりもっと悲惨なの ・・・ あの人のキスの味が忘れられないけれど、彼は私のものではないみたい≫といったちょっと悲しいバラードなのです。
やはりこういう歌はしっとりと歌った方が合うのでしょうね。恋の行方は誰にも分からない。浮き沈みがあって、うれしくて天にも昇る気分のときもあれば(曲で言えば『Fly me to the moon』?)、悲しくてこの歌のように『But not for me』と落ち込むこともあります。まあ、どちらかというと悲しい歌の方が心に残るのでスタンダードにはなりやすいのかも知れませんね。それにしてもこの歌、曲調などから新しい感じがするのに、今年2004年でもう74歳になるんです!ジャズ時大全の著者村尾陸男氏がこの曲の解説で書いておられましたが、これだけ古い歌になると、今のアメリカ人でも知らない言葉が結構入っているようです。例えば≪Beatrice Fairfax≫。人の名前で、1920年ごろ新聞で恋愛相談をしていたその道の草分け的なコラムニストの名前ということらしいのです。どうりでほとんどのアメリカ人が知らないはずだと村尾氏は半ばあきれて書いています。他に、≪Polly-Anna≫は1913年(!)の少女向け小説の主人公の名前で、いつもニコニコしている底抜けに明るい女性の代名詞となっているようです。また≪bananas≫はT・A・ドーガン(1877-1923)というスポーツ記者兼漫画家が流行らせた俗語で、「狂う」「頭がおかしくなる」という意味の『go bananas』から来ているそうです。
そういうことを考えると、作詞したアイラ・ガーシュインさん、当時の最先端の言葉をちりばめて作った詩なのに、70年以上経ってみるとさすがに分かってもらえない言葉になってくるとは・・・多分思ってもみなかったでしょうね。あるいはそんなに長くスタンダードな曲になるとは思っていなかった???でもそうかといって長く残ることを意識して作っても普遍的な言葉しか使わなかったら、これまた味気ない曲になってしまうだろうし・・・。でも日本の歌謡曲がスタンダードとして残らないってのはどういう訳なんでしょうね。ちなみにこの曲と同じ年、昭和5年に日本で作曲された歌謡曲は『祇園小唄』(長田幹彦作詞、佐々紅華作曲、歌/藤本二三吉)、『この太陽』(西条八十作詞、中山晋平作曲、歌/佐藤千夜子)、『酋長の娘』(石田石松作詞・作曲、歌/中村慶子)などがあるそうですが、どなたか歌える方いらっしゃいますか〜〜〜?( ̄。 ̄;)
PHOTO PRESENTED BY 【Four seasons】
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