Cleopatra's Dream


モダンジャズ・ピアノの元祖と言われるバド・パウエルのオリジナル曲。1958年に録音された「シーン・チェンジス」の冒頭の曲です。

バド・パウエル(1924〜1966)はディジー・ガレスピー、チャーリー・パーカーと並んで、バップ時代が生んだ最大の天才と言われています。 ハンプトン・ホーズ、トミー・フラナガン、ウイントン・ケリーら多くのジャズ・ピアニストに影響を与えました。 彼の演奏はよく「ホーン(吹奏楽器)的」と言われ、ピアノのチャーリー・パーカーという人もいます。

このパウエルをバップに開眼させたのは他ならぬセロニアス・モンクでした。ハーレムにあるバップ発祥の地、ジャズ・クラブ「ミントンズ」に連れていかれた彼は、 自分のこれまでのスタイルを一変させ、バップの世界をひた走ることになります。そういう意味ではモンクはパウエルの恩人であり、先輩ということになりますが、 ジャズ界での影響力という点ではパウエルの方が早かったようです。

このパウエル、数多くのレコードを残しましたが、出来不出来の差がかなり激しいという見方が一般的です。そしてそれは彼の精神病的な性向からくるもののようなのです。 何回か病院に入院したり、麻薬で逮捕されて入院したこともあったようですが、そんな時期にもかかわらず、素晴らしい名演を残しているのは やはり天才と言われる所以なのでしょうね。



この曲、どこかで聴いたことがあるって方も多いのではないでしょうか。15年くらい前だったと思いますが(調べたら87年〜91年でした)、作家の村上龍氏のトーク番組「RYU’S BAR」のテーマに使われた曲だったんですけど、当時はバド・パウエルの曲だなんて知らずにいました。(^^ゞ で、後になってから、あ〜、あの曲!なんて思ったりしました。(TVではバド・パウエルではなく
山本剛トリオの演奏でしたが。)でもあの番組、好きで毎週見ていましたね。当時新進気鋭の作家だった村上氏の語り口が何とも新鮮でカッコよく思えたものでした。それにあの音楽!ですからね。記憶違いでなければ、横尾忠則氏の絵がこの曲と一緒に 画面に登場したのではないかと…(違っていたらゴメンナサイです。)

それにしても何故クレオパトラの夢っていうタイトルにしたんでしょうね。そもそもクレオパトラが見た夢のことなのか、それとも見た夢にクレオパトラが登場したのか、よく分かりません。映画やミュージカルからきた曲ではないので、こればっかりはパウエルさんに聞かないと分かりません。英語の文法?からするとクレオパトラが見た夢のように思えますが、そうなると壮大な歴史のロマンを感じてしまいます。そうではなくて夢にクレオパトラが登場したとなると…、これは夢占いの世界ですよね。世紀の美女の夢なんてなんともウレシイ夢ですが、何でも「女王」の夢占いには、ビジネスの上昇とか遠方からの知らせといった意味があるそうですよ。

ほほぅ〜、するとこの曲を作って人気を博し、すぐその後パリに移住したパウエルの姿と重なって見えるではありませんか。不思議〜〜!







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