Corcovado


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Quiet nights of quiet stars
Quiet chords from my guitars
Floating on the silence that surrounds us
Quiet thoughts and quiet dreams
Quiet walks by quiet streams, and a window
Looking on the mountains and the sea
How lovely! this is where I want to be
Here, with you so close to me
Until the final flicker of lifes ember
I, who was lost and lovely, believing life was only
A bitter tragic joke, have found with you
The meaning of existence oh, my love





1962年、ボサノヴァの生みの親であるアントニオ・カルロス・ジョビンの作詞・作曲で誕生したこの曲、後にジーン・リースとバディ・ケイにより英語の詩がつけられました。アメリカにおけるボサ・ノヴァ・ブームの火付け役ともなったあの有名なヴァーヴのLP、『ゲッツ/ジルベルト』の中の1曲で、「イパネマの娘」とともに大ヒットしました。題名の「Corcovado」はブラジル、リオデジャネイロ市の郊外でコパカバーナ海岸の近くにある標高710メートルの岩山の名前から来ています。オリジナルの歌詞には「窓の向こうにコルコヴァドの丘が見え、キリスト像が美しく微笑みかけている」というくだりがありますが、英語版の方にはその部分はなく、あとは大体同じ内容となっています。

空に星が満ちている静かな夜
私の弾くギターの柔らかな和音が
私たちを包む静けさの中をただよってくる
黙ってものを想い静かに夢をいだき
穏やかな小川のふちを音もなく散歩する
そしてあの山と海を見渡す窓がある
なんと素晴らしいところだろう

これこそ生命の火の最後の一閃まで
私があなたと二人きりで過ごしたいと
望んでいた場所に他ならない
途方にくれ孤独にさいなまれ
人生は苦く悲惨な戯れでしかないと信じていた私が
今生きていく意味を見つけることが出来た
愛する人、あなたとともに

  (中央アート出版社刊『ジャズ詩大全』 第12巻-8  村尾陸男氏訳)



例の大ヒットLP『ゲッツ/ジルベルト』ではアストラッド・ジルベルトが英語で歌い出し、スタン・ゲッツの間奏のあとジョアン・ジルベルトがポルトガル語で歌い、ピアノはアントニオ・カルロス・ジョビンという豪華メンバーですが、アストラッドが一部ポルトガル語で歌っているスタン・ゲッツとの共演盤もあります。同じブラジル生れのナラ・レオンはすべてポルトガル語で歌っています。アメリカの歌手ではトニー・ベネットが最初に録音し、その後1965年にアンディ・ウィリアムスのレコードがヒットしています。その他フランク・シナトラエラ・フィッツジェラルド、アニタ・オデイ、ドリス・デイ、ブロッサム・ディアリー、リタ・ライス、アイリーン・クラーク、ジョニー・マティス、サリナ・ジョーンズなど多くの歌手によって歌われています。おしどり夫婦デュエット、ジャッキー&ロイも素敵なハーモニーを聴かせてくれています。インストではもっぱらスタン・ゲッツが目立っていますが、ギターでボサノバをアメリカに広めた功労者、
チャーリー・バードを忘れることはできないでしょう。

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この曲、どうも歌詞だけ見るとご当地ソングなのかと思うくらい Corcovado をほめちぎっていますが、そこはまあそういうシチュエーションであればそういう思いを抱くのは古今東西、人はみな同じということなのでしょう。あなたにとって、私にとって、思い出の場所はそれぞれ違っても、二人だけの特別な場所は世界中で最高の場所ということになるのでしょうね。それが二人の出会いの場所なのか、初めてのデートの場所なのか、ファースト・キスした場所なのか、それとも新婚旅行の場所なのか、それこそ人それぞれだと思いますが、そういう思い出の場所、大切な場所を心の中に持っているって素敵なことですよね。年月を重ね、二人が再びその場所を訪れた時、当時の思いが甦るなんてことになればそれこそ素晴らしいことだと思います。でもね・・・、自分の体験談で申し訳ありませんが、そういう思い出の場所を家人と20数年ぶりに行ってみたことがあるんですけど、もうすっかり変わってしまって、あの時一緒に漕いだブランコのあった公園が、ない・・。見当たらない・・・。これってちょっと寂しいですよね。やっぱり Corcovado の山のように、ずっと変わりそうもないくらいのところに思い出の場所を作っておいた方がいいのかも知れませんね。^^



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