Desafinado



Love is like a never ending melody,
Poets have compared it to a symphony,
A symphony conducted by the lighting of the moon,
But our song of love is slightly out of tune . . . .

Once your kisses raised me to a fever pitch,
Now the orchestration doesn’t seem so rich,
Seems to me you’ve changed the tune we used to sing,
Like the bossa nova love should swing . . . .

We used to harmonize two souls in perfect time,
Now the song is different and the words don’t even rhyme,
‘Cause you forgot the melody our hearts would always croon,
What good’s a heart that’s slightly out of tune?

Tune your heart with mine the way it used to be,
Join with me in harmony and sing a song of love,
We’re bound to get in tune again before too long,
There’ll be no Desafinado when your heart belongs to me completely
Then you won’t be slightly out of tune, you’ll sing along with me!



ボサノバの代表的な曲の一つ。ボサノバは音楽としては比較的新しいジャンルに属すると思いますが、大雑把に言うとブラジルのサンバをベースに、アメリカ人好みに加工したものと言ってもいいと思います。60年代の初頭に『イパネマの娘』やこの曲などがヒットしてボサノバのブームを巻き起こすきっかけになりました。
作曲はアントニオ・カルロス・ジョビン。作詞はニュートン・メンドーサがポルトガル語で書いたものをジーン・リーサが英訳したものが一つと、ジョン・ヘンドリックスとジェシー・キャヴァノーが書いたものの二つがあります。どちらかというと後者の歌詞で歌われる方が多いようです。(上記の歌詞は後者のものです)

ボサノバも私の感じではジャズ系とポップ系があるような気がします。私のボサノバとの出会いは学生時代に遡ります。セルジオ・メンデスとブラジル66の『マシュケナダ』やボサ・リオの『サンホセへの道』といったポップ系が最初の出会いでした。時代的にはジャズ系のスタン・ゲッツとジョアン・ジルベルトの歴史的名盤「GETZ/GILBERTO」の方が先だったのに、まだジャズに目覚めていない頃のことですから仕方ありません。でもこの『マシュケナダ』に関しては、当時ラジオでどの局からも流れてくる程の大ヒットで、イヤでも耳に入ってくるという感じで、自然と例の「マッ!シュケ〜、ナダッ」のフレーズが耳に残るくらいでした。
この曲を歌っている歌手は大勢いますが、まずはやはりジョアン・ジルベルトでしょう。彼はアストラッドのご主人でしたが(その後離婚しました)、大変な気難し屋だったようです。レコーディングの際にはテナーの大御所スタン・ゲッツに対してもぼろくそに文句を言った話は有名です。決して妥協を許さない、ある意味職人だったのでしょうね。でもサンバとジャズという異なった土壌で育った音楽が互いにぶつかり合い、融合するのですからそのくらいの摩擦は当然あってもおかしくはなかったかも知れません。結果的にその両方の魅力を兼ね備えた新しい音楽が生まれることになったのです。

このジョアン・ジルベルトをはじめ、アストラッド・ジルベルト、ナラ・レオン、カミーラなどブラジル生れの歌手に対し、アメリカ生れの歌手では、ドリス・デイジュリー・ロンドンエラ・フィッツジェラルド
サリナ・ジョーンズなどの歌手が歌っています。インストではスタン・ゲッツチャーリー・バード、ディジー・ガレスピー、コールマン・ホーキンス、ハービー・マン、クインシー・ジョーンズなどが取上げています。
desafinado はポルトガル語で音痴、調子外れの意味だそうです。英語の歌詞の中にある「slightly out of tune」はそのまま英語のタイトルになっています。「私たちの恋の歌はちょっと調子外れだけど、あなたの心が完全に私のものになればデサフィナードじゃなくなるの」(There'll be no desafinado when your heart belongs to me completely)というラブ・ソングです。本当は激しい恋心が秘められているにもかかわらず、夏の灼きつくような太陽の下で、軽くて心地よく耳に入ってくるボサノバのリズムに乗ると、どんな恋も開放的で健康的な、自然の人間の想いを素直に表現できるような気がしてきます。やっぱりボサノバには夏がよく似合う?!

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