You Don't Know What Love Is
You do't know what love is
Until you've learned the meaning of the blues
Until you've loved the love you've hard to lose
You don't know what love is
You don't know how lips hurt
Until you've kissed and had to pay the cost
Until you've flipped your heart and you have lost
No, you don't know what love is
Do you know how a lost heart fears
The thought of reminiscing
And how lips that taste of tears
Lose their taste for kissing
You don't know how hearts burn
For love that cannot live yet never dies
until you've faced each dawn with sleepless lies
No, you don't know what love is
1941年にドン・レイが作詞、ジーン・ディ・ポールが作曲。映画「Keep 'em Flying」でキャロル・ブルースが歌って世に紹介されましたが、映画そのものはあまりヒットせず、主題歌だけが有名になって一人歩きしたケースの典型のようです。
「あなたは恋というものが分かっていない。ブルースの意味を知るまで。あなたは失恋するまで、恋がどんなものか分からない」と逆説的な歌詞がつけられています。「ブルースの意味〜」なんてフレーズをブルースの女王ビリー・ホリデイが歌うんですから、これはビリーのために作られたような歌とも言えるかも知れませんね。晩年のビリーのパートナーだったマル・ウォルドロン(レフト・アローン)他、マイルス・デイビス(ウオーキン)、ジョン・コルトレーン(バラード)、エリック・ドルフィー(ラスト・デイト)、ソニー・ロリンズ(サキソフォン・コロッサス)など、多くのジャズメンが好んで演奏するバラードとなりました。ボーカルではビリー・ホリデイの他、ダイナ・ワシントン、エラ・フィツジェラルド、クリス・コナー、チェット・ベイカー、テディ・キングなど大勢の歌手が歌っています。でも、人を愛することによって、愛する苦しみという心の「負の部分」が生まれてくることは、愛したことのある人でないと絶対に分からないでしょうね。それは人を真剣に愛するがゆえに苦しみもそれだけ大きなものになってしまうという人間の心の不思議さ、とも言えるのではないでしょうか。きっと愛する喜びと苦しみは表裏一体のものなのかも知れませんね。愛する人と一体になった喜びが大きいほど、離れた時の苦しみも大きなものになるのでしょうから。例えば遠距離恋愛なんかまさにそうでしょうね。逢っている時はあっという間に時間が過ぎてゆき、無情な別れの時はすぐにやってくる‥。次に逢えるまでの時間がどんなに永く感じられることでしょう。その間ずっと不安を抱きつつ相手のことを想いながら別々に暮す辛さはまさに苦しみ≠ナすよね。この歌は、こんなに苦しい思いをしているのにあなたは気付いてくれないって言っておいて、早く分かって欲しい、私のことも同じくらい愛して欲しいと訴える、ちょっと高度なテクニック?を使った求愛の歌のように聞こえます。そう、愛とは苦しいもの。でも愛がなければ生きていけないなんて。なんて人間って”人間的”なんだろう!