Ev'rytime We Say Goodbye
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Ev'rytime we say goodbye, I die a little
Ev'rytime we say goodbye, I wonder why a little
Why the Gods above me, who must be in the know
Think so little of me, they allow you to go
When you're near, there's such an air of spring about it
I can hear a lark somewhere, begin to sing about it
There's no love song finer, but how strange the change from major to minor
Ev'rytime we say goodbye
コール・ポーターの作品。1944年のレビュー『seven lively arts(7つの活気ある芸術)』に挿入された曲の一つです。他にストラヴィンスキーが作曲したバレエ音楽も使われましたが、興行的には失敗に終わり、曲だけが残ってスタンダードになりました。同じポーターの名曲 『Night and Day』がミュージカル(『Gay Divorce(陽気な離婚)』)と共にヒットしたのに比べると反対のケースですが、この曲のように興行が失敗して曲だけが残るケースの方が多いのは不思議な気がします。その後1945年春に、ペギー・マンのボーカルをフィーチャーし、レッド・ノーヴォ、テディ・ウィルソンが入ったベニー・グッドマンクインテットのレコードがヒットしました。1946年にはケイリー・グラント主演の『Night and Day』という映画でポーターの半生を描いていますが、それはあまり評価されず、ポーター自身もあまり気に入っていなかったようです。最近では、2004年にコール・ポーターと妻リンダの半生記のドラマを描いた映画、『五線譜のラブレター』(De-Lovely)があり、そのなかでナタリー・コールがこの曲をしっとりと歌っています。
≪VERSE≫
僕達は互いに深く愛し合っている
だから君に尋ねたいんだ
どうして喧嘩ばかりしてしまうのだろう
どうして別れることの無いように もっと器用になれないのだろう
≪CHORUS≫
さよならを言うときはいつも たまらなくなる
さよならを言うときはいつも どうしてこうなんだろうって思う
神様は全てお見通しのはずなのに 僕の気持ちを少しも考えないで
君が行くことを許してしまうのだろう
君が近くにいると春の香りに包まれて
どこからか春を告げるひばりのさえずりが聞こえてくるようだ
これ以上に素敵なラブ・ソングはないよね
でも 不思議なことにその歌はすぐに哀しい歌に変わってしまうんだ
僕達がさよならを言う度にね
translated by ryu_mama♪
といった歌詞で、今回も素敵な訳詞を ryu_mamaさんにお願いしています。「さようなら」の言葉のもつ意味、離別は死さえも思い起こさせるつらくて重いものであることを切々と訴えています。ほとんどの歌手がコーラスから入り、ヴァース部分から歌う歌手は少ないようです。メロディーは単調ですが、逆に歌う側は歌唱力を問われることになる難しい曲といえるかも知れません。曲自体は当初のレビューから離れても歌詞はそのまま残っているわけですから、歌い手はその歌詞をメロディーに載せて自分の世界を築き上げなければいけないという点で、スロー・バラードほど難しい曲はないでしょう。ゆっくりと、丁寧に、情感を込めて歌う姿に、歌手それぞれの思いや個性が出てきて、そこにこの歌を聴き比べる面白さがあると思います。
この曲はポーターの作品の中では比較的地味な存在のようで、「B級スタンダード」という言い方をする人もいますが、あまりいい言い方ではありませんね。確かに圧倒的な数のアーティストが取上げている訳ではありませんが、この曲を愛する多くの歌手たちに歌い継がれてきているバラードの名曲であることには間違いないと思うのです。
まずボーカルでは、マキシン・サリバン、リナ・ホーン、エラ・フィッツジェラルド、サラ・ボーン、ジューン・クリスティ、ベティ・カーター、ジュリー・ロンドン、チェット・ベイカー、ダイアナ・クラールなど。インストではベニー・グッドマンのクインテットから始まり、ソニー・ロリンズ、ジョン・コルトレーンの他、ビル・エバンス、リー・コニッツ、ジミー・スコットなどのアーティストがこの曲を取り上げています。今回、エラ・フィッツジェラルドの歌とジョン・コルトレーンの演奏については、You Tubeでご覧いただけるようにしました。
私がこの曲を好きになったのは比較的最近です。先ほども書いたように、「五線譜のラブレター」(De-lovely)という映画の中で、コール・ポーターの妻リンダが亡くなるところでこの曲をナタリー・コールがしっとりと歌っている場面があり、すごく感動してしまいました。以来、この曲がすっかり好きになりました。このページに載せた写真はそのときのワンシーンです。この映画の素晴らしさについては当サイトの 『Night and Day』のページでも触れています。
ところで、当サイトではいつも曲をアップロードするとき、曲紹介用にネットでmidiファイルを探すのですが、今回はなかなか見つかりませんでした。有料のはあることはあるのですが、海外サイトでカードを使うのはやはり怖くてできません。そんな中、やっとあるサイトでこの曲のmidiを見つけました。しかし、なんともイカサナイのです。(どうもロシアのサイトらしい) でも、ないよりはいいかなと思って一応貼り付けました。どうしても聴いてみたいという方だけページ右上のコントローラーの再生ボタンを押して聴いてみてください。曲の雰囲気はちょっと無理かも知れませんが、メロディーだけでも多少分かっていただければと思います。
PHOTO PRESENTED BY 【About】
De-Lovely Production Photos
http://movies.about.com/library/weekly/bldelovelypicsa.htm