Fly me to the Moon



Fly me to the moon and let me play among the stars
Let me see what spring is like on Jupiter and Mars

In other words hold my hand
In other words darling kiss me

Fill my heart with song and let me sing for ever more
You are all I long for all I worship and adore

In other words please be true
In other words I love you





54年の作品で作詞・作曲はバート・ハワードというピアニスト。当時歌手のメイベル・マーサーの伴奏を勤めていたそうです。この曲、最初『In other words』という題名でしたが全くヒットせず、62年に『Fly me to the moon』と変更され、ジョー・ハーネルのバンドが出したレコードがヒットして一躍有名になりました。確かに「言い換えれば」よりは「月へ飛ぶ想い」の方が分かり易くて、インパクトがあって、ロマンチックで、と題名としては数段上であるような気がします。ペリー・コモ、ナット・キングコールフランク・シナトラ、トニー・ベネットなど何故か男性歌手の歌がヒットしていますが、もちろん女性歌手もクリス・コナー、ナンシー・ウィルソン、アニタ・オデイ、サラ・ボーンジュリー・ロンドンなど負けずに歌っています。歌詞の内容はどちらかと言うと女性の側のような気がしますが、英語だと日本語のような女性言葉がないので歌うには便利かも知れません。あと珍しいところで男性アカペラもあります。日本の男性ボーカル代表としてはやはり小林桂でしょうか。




「月」というと、これほどロマンチックな題材はありませんよね。このサイトでも「moon」がつく題名の曲って何曲かご紹介させていただいているような気がします。思いつくだけでも『blue moon』、『moonlight serenade』、『it's only a paper moon』、『moonglow』などがありました。でもどれも夜空に浮かぶ月の美しさを歌っている曲がほとんどで、月まで飛んでいくという”発想”はなかったと思います。でも何故かこの曲では、月は美の対象としてではなく、行ってみたい場所になっています。しかも月だけではなく、木星や火星の春も見たいなんて、もうこれは完全に宇宙飛行士の世界ですね。(笑) でもそれって、どうもそれなりの理由があるようなのです。当時、50年代からアメリカとソ連(古いですなあ)の間では宇宙開発の先陣争いが始まった頃ということを思い起こせば、ああなるほどということになるのではないでしょうか。ちなみに人類初の人工衛星は1957年のソ連のスプートニク1号でしたが、以降米ソ2大国のロケットの開発、月や惑星に探査機を飛ばしたりの宇宙開発競争が本格化していった時代なのでした。





この曲には思い出があります。と言っても(いつものように?)艶っぽい話とは全く無縁の思い出ですが、まだトランペットを習い始めた頃のことですから二十歳くらいだったでしょうか。ヤマハの教室でだったか、それ以外でだったかは忘れましたが、初級のトランペット教則本にこの曲が載っていたのです。まだ音がやっと出たての頃で、スースーとかすれたような音がなんとか出る程度の、お世辞にも曲とはいえないシロモノ。ましてや他人に聞かせるなんてとんでもないという段階で、音符を間違えないで吹くのがやっとの頃でした。ところが!!それを全く赤の他人に聞かせる運命となってしまいました。1年か2年の春休みにヒッチハイクなるものを試みたときのこと。場所は木曽、妻籠の三留野(みどの)に泊まったときでした。トランペットを肌身離さず?持っていた当時のこと、泊めていただいたお礼にということで、なんと1曲披露することになってしまい、その時吹いたのがこの『Fly me to the moon』だったのです。その時、その家は奥さんと高校生くらいの女の子の2人だけだったような気がしましたが、こんな怪しげな学生をよく泊めてくれたと思います。しかもお世辞にも上手いとはいえないトランペットを聴かされて、さぞ迷惑なことだったろうと(ご近所も含めて)、今考えるとまったく汗顔の至りなのです。^_^; 万一、その時のお母さん、またはお嬢さんがこのサイトをご覧になっていらっしゃたら是非ご一報くださいませ。って、今から30数年前のことだからある訳ないっしょ!!







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