In a Sentimental Mood
In a sentimental mood
I can see the stars come through my room
While your loving attitude
Is like a flame that lights the gloom
On the wings of every kiss
Drifts a melody so strange and sweet
In this sentimental bliss
You make my paradise complete
Rose petals seem to fall
It's all I could dream to call you mine
My heart's a lighter thing
Since you made this night a thing divine
In a sentimental mood
I'm within a world so heavenly
For I never dreamt that you'd be loving sentimental me
数多くのジャズ・プレイヤーに多大な影響を与えたデューク・エリントンの代表的なバラードです。「コットン・クラブ」を舞台に活躍していた時期にあたる1935年に初演され、翌年にはベニー・グッドマン、ジミー・ドーシーなどの白人バンドも取上げて程々のヒットとなりました。当初はインストのみでしたが、後にアーヴィン・ミルズ、マニー・カーツが詩を付けています。この曲が一躍有名になったのはエリントンとジョン・コルトレーンとのダブルリーダー作によってと言われていますが、ピアノではマッコイ・タイナー、トミー・フラナガン、ビル・エバンスなどの演奏がよく聴かれているようです。デイブ・パイクはビル・エバンスとのセッションで唸り声を出しながら気持ちよさそうにヴァイブを叩いています。ソニー・ロリンズもMJQをバックに豪放なプレイを繰り広げています。もちろんエリントンのお膝元でジョニー・ホッジスも華麗なアルトを吹いています。ボーカルではサラ・ボーン、エラ・フィッツジェラルド、キャロル・スローン、トニー・ベネットなど多くの歌手が歌っています。 私がこの曲を最初に聴いたのはインパルス盤のレコード、「デューク・エリントン&ジョン・コルトレーン」でした。同じインパルス盤で「ジョン・コルトレーン&ジョニー・ハートマン」を先に聴いていて、その延長線上で買ったレコードでしたが、その1曲目がこの曲でした。バラードといっても単にスローなムード曲というのでなく、エリントンらしい品のある優雅さを備えた作品です。このアルバム、ほとんどがエリントンのナンバーでコルトレーンの曲は1曲だけ。当時36歳のコルトレーンが大御所のエリントン(当時63歳)を立てた形となっていますが、演奏の方はコルトレーンが主役といってもいい内容となっています。このときのエピソードとして、完璧主義のコルトレーンが録り直しを希望したのに対してエリントンは1回完結を重んじてそれを許さなかったという話があります。コルトレーンのバラードはこのアルバムの他、先の「ジョン・コルトレーン&ジョニー・ハートマン」と「バラード」があり、バラード3部作とも言われています。![]()
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「sentimental」がつく曲で他に有名な曲は、『sentimental journey』、『I'm getting sentimental over you』、『blue and sentimental』、『for sentimental reasons』などがありますね。「sentimental」は本来、感傷的とか多感なといった意味で使われることが多いと思いますが、この曲では「mood in love」の微妙な心の状態、恋をしていて心が敏感で感じやすくなっている状態を表現するのに使われているような気がします。日本語になったセンチとはちょっと違うような気がするのですが、後から詩をつけたということもあって、詩も曲に劣らずきれいですね。まさに恋をしているときの至福感にあふれた詩であり、曲も詩も美しいバラード中のバラード。そんな曲が今から70年も前に作られたなんてちょっと信じられない気もしますが、70年前の恋人達もこの曲を聴いて感動していたのかも知れないと思うと、音楽の素晴らしさを改めて実感します。
PHOTO PRESENTED BY 【Four seasons】
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