Memories of You

memories of you



1930年の作品。作詞:アンディラザフ、作曲:ユービーブレイク。

Walking the sky, at sunrise every sunset too,
Seems to be bringing me Memories of you.
Here and there ev'ry where ,Scenes that we once knew,
And they all just re-call Memories of you

How I wish I could forget those happy yes-ter years,
That have left a ro-sa-ry of tears.
Your face beams in my dreams, Spite of all I do
ev'ry thing seems to bring Memories of you.




いつ聴いても耳に優しいというか、何かホッとする安らぎを覚えてしまういい曲ですね。ベニ-・グッドマンのクラリネットで聴いたことがある人も多いことでしょう。映画「ベニ-・グッドマン物語」のなかでも演奏されていますので、そちらで聴いたという人も多いかも知れません。最初はルイ・アームストロングのレコードがヒットしましたが、その後ベニーグッドマンが取り上げ一躍有名になりました。セロニアス・モンク、ライオネル・ハンプトン、クリフォード・ブラウンも取り上げています。ボーカルではローズマリー・クルーニーがベニー・グッドマンのコンボをバックに歌っているほか、ビリー・エクスタイン、フランク・シナトラ、パティ・ペイジなど多くの歌手が歌っています。

クラリネットっていう楽器はサックスに比べるとずっと古くからあるようですが、木管独特の柔らか味というか、優しさがあってこういう曲にはピッタリですよね。

人の心って悲しい時はなぜか明るい曲を受付けませんよね。しっとりとした、どちらかというと静かでマイナーなメロディーを求めてしまうのではないでしょうか。何か心に染み込んでいくような優しさ、そういった優しさを傷ついた心が求め、吸収していくことで徐々に癒されていくのでしょうね。

また反対に、そういった曲を聴くことで忘れていたはずの過去が甦り、その時の心の痛みが甦るなんてことがあるかもしれませんね。でもきっとそれは、その時の痛みとはちょっと 違った、≪感傷≫という別の、痛みにも似た思いが生まれているような気がします。それは≪時間≫という大きな存在がそうさせるものと私は思います。

時間が過去の心の痛みを、その大きなベールで覆ってくれていた‥。そのベールがはがされた時、その過去の心の痛みが甦ったとしても、それは過去のものと同じではないはずです。 当時は心の全てがその思いで一杯だったかも知れませんが、今はちょっと違うのではないでしょうか。心の一部が過去の状態を再生するかも知れませんが、心の他の部分で それを懐かしさをもって眺めている、そんな自分に気付いたりすることはありませんか。年月を経ることによって醸造された、ちょっぴり甘酸っぱい≪感傷≫という新たな思いをもって眺めている自分に。

たとえば≪失恋≫という心の痛みを考えてみると、こういった優しい曲を聴いてその当時の辛い思いが心の中に甦ってきたとしたら…、悲しい、辛い、泣きたい、そういった思いを抱えながら 自分に正直に生きてきた自分に対して、自分を誉めてあげてください。人の数だけドラマはあるといいますが、自分はそのドラマの中で一生懸命主人公を演じてきたのです。 そう、まさに筋書きのないドラマを。そこで精一杯、自分に正直に主役を務めてきたのです。その結果が≪失恋≫だったとしても、誰もあなたを責めたりしません。 ≪時間≫は天からの贈り物。"想い出"というかけがいのないプレゼントは、ずっと後になってその素晴らしさを実感できるものだと思いますよ。