Moanin'

moarnin'


Every morning find me moanin'
I'm alone and cryin' the blues
I'm so tired of payin' the dues
Everybody knows I'm moanin'

Every evenin' I am moanin'
cause of all the trouble I see
Life's a losin' gamble to me
Everybody knows I'm moanin'

Lord I spond plenty of days and nights
alone with my grief
And I pray really n' truely pray
Somebody will come and bring me relief





1959年、黒人ピアニスト、ボビー・ティモンズによって作曲されたファンキー・ジャズのヒット作です。弱冠22歳にしてティモンズはドラマーのアート・ブレーキー率いるジャズ・メッセンジャーズのピアニストに抜擢されこの曲を書きました。モーニンとはうめく、うめき声をあげるという「moan」からきており、別に「朝」という意味ではありませんね。(でも何故か上の写真は朝みたい?、イヤ、別に気にしないでくださいね。歌詞には毎朝≠チて入ってることだし…(~_~;))で、ボビー・ティモンズが加入したジャズ・メッセンジャーズですが、58年の暮にはパリへ演奏旅行に行き、『クラブ・サンジェルマン』でこの曲をライブ録音しました。その時の演奏はライブの熱気がよく伝わったこの曲の最高の名演となりました。59年にはジョン・ヘンドリックスが歌詞をつけています。

「朝が来るたび俺はうめいているんだ。」と誰かが歌うと他のみんなが「Yes,Lord!」と声を合わせて合いの手を入れる、そういったブルースです。これは黒人教会音楽の「コールアンドレスポンス」と言われるスタイルを取り入れて作られており、ブルースを心の叫び、魂の歌とするなら、この曲は最もブルースらしいブルースと言えるのではないでしょうか。そう言えば何となく、教会で歌われる讃美歌の持つ素朴な匂いを感じます。でもそれがこうやってファンキーなジャズに変身してしまうところがすごい!それもそのはず、このアートブレーキー率いるジャズ・メッセンジャーズ、役者が揃っている!アート・ブレーキー(ds)、ボビー・ティモンズ(p)の他に、リー・モーガン(tp)、ベニー・ゴルソン(as)ジミー・メリット(b)という豪華メンバーなんですから。当時日本でも大ヒットして、「そば屋の出前のお兄チャンまでも口ずさんだ」と言われるくらいだったそうです。最近ではMJO(Manhattan Jazz Orchestra)がこの曲を取り上げています。



で、この曲なんですが、実に素朴というか、素直というか、教会で十字架に向かって手を合わせながら祈っている祈りにも似たつぶやきといったところでしょうか。他人を意識しないでありのままの気持ちを訴える、というのは祈りというよりは神との対話の世界に入っているのかも知れません。苦しい時の神頼みっていうのは古今東西、人間の共通した弱さの表れだと思いますが、どうしても苦しい時ってありますよね。そんな時、こうやって明るく?神様にお願い≠チて言えるのっていいなぁと思います。

神を信じない人はそんなこと出来ないわけだし、自分で悩みを抱えて自分で解決するしかないのに比べると、たとえ苦しいときだけでも神様に縋ろうとする心って、素直だし、従順だし、とても人間的≠ナ、決してずるいなんて思わないけどなぁ。でも、これで悩みが無くなるとまたケロッとして神様のことなんか忘れちゃう…、あぁ、人間って、なんて弱い存在なんだろう。








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