Pennies in a stream
Falling leaves a sycamore
Moonlight in Vermont
Icy finger waves
Ski trails on a mountain side
Snowlight in Vermont
Telegraph cables, they sing down the highway
And travel each bend in the road
People who meet in this romantic setting
Are so hypnotized by the lovely
Evening summer breeze
Warblings of a meadowlark
Moonlight in Vermont
1944年の作品。ジョン・ブラックバーン作詞、カール・スースドルフ作曲ですが、2人の作品はこの曲以外にないようで、データ的には全く無名のコンビのようです。元々は電力会社のCMソングとして作られたという説もありますが、詳細については分かっていません。1945年にマーガレット・ホワイティングが歌ってヒットし、その後多くの歌手に歌われるようになってスタンダードになりました。
ところでこの曲ですが、ちょっと変わっていて、普通の曲だと歌詞は韻を踏んでいるものなのですが、この曲にはそういうところが全くない!ということからして散文的というか、素人っぽいというか、詩としてはかなり珍しいスタイルと言えそうです。同様に曲の方も変わっています。普通8小節単位で32小節が1コーラスとなる曲が多いのですが、この曲は主題が6小節しかなくて、1コーラスが6・6・8・6の26小節という超変型スタイルなのです。通常の曲作りの常識からはみ出た何ともユニークな、ある意味素人っぽい朴訥さが当時の聴衆から受け入れられたのでしょうか。
この曲、最初はソニー・スティットのアルト・サックスで聴きました。何ともムードある柔らかな音色、moonlightのイメージにピッタリの調べに痺れました。あとはジョニー・スミスのギターが有名ですが、ジェリー・マリガンのバリトンやスタン・ゲッツのテナー、ウイントン・ケリーのピアノの演奏もよく聴かれているようです。あのチェット・ベイカーもライブで柔らかなトランペットを吹いています。ボーカルではカーメン・マクレイ、エラ・フィッツジェラルド、ベティ・セントクレア、メル・トーメ、サラ・ボーン、ベティ・カーター、ビリー・ホリデイ、ビリー・エクスタイン、ジョニー・ハートマン、フランク・シナトラなどそれこそ枚挙にいとまがないほどです。
小川に耀く銅貨
落ちてゆく木の葉、鈴かけの木
バーモントの月明り
凍った指先が震える
山の中腹のスキー跡
バーモントの雪灯り
歌うように電話線がハイウェイを走り抜ける
道路伝いに廻りながらずっと続いていく
このロマンチックな姿
夏の夕暮れ時のやさしいそよ風
人は心を震わせる
ひばりのさえずり
バーモントの月明り
何ともロマンチックな詩の中に、何故電話線がでてこなくてはいけないのかよく分からないのですが、その風景の中で電話線が重要な役割を果たしているのか?とか、それとも電力会社ではなくて電話会社のCMだったのだろうかとか考えてしまいました。どなたかご存知の方がいらしたら教えて欲しいと思います。でもまあそういう歌詞の内容は本当はどうでもよくて、このロマンチックな雰囲気に浸ることができればこの曲はそれでいいのかも知れません。これだけ錚々たるアーティストたちがこの曲を愛して、歌い演奏し続けてきたのですから。数多くのmoon、moonlightの曲と違って、ラブロマンスの香りが希薄でシンプルであり、それが逆に聴く人の感性による自由な解釈を可能にしているのではないかと思ったりしているのです…。
PHOTO PRESENTED BY 【Heather Forcier】
Nature Photography
http://www.hforcier.com/gallery.htm