Moonlight Serenade



I stand at your gate and the song that I sing is of moonlight
I stand and I wait for the touch of your hand in the June night
The roses are sighing a Moonlight Serenade

The stars are aglow and tonight how their light sets me dreaming
My love do you know that your eyes are like stars brightly beaming
I bring you and sing you a Moonlight Serenade

Let us stray till break of day in love's valley of dreams
Just you and I a summer sky a heavenly breeze kissing the trees

So don't let me wait come to me tenderly in the June night
I stand at your gate and I sing you a song in the moonlight
a love song my darling a moonlight serenade




グレン・ミラー楽団のバンドテーマとして有名なこの曲は、アメリカの第2の国歌とも言われるほどアメリカ人から愛されている名曲です。1939年にグレン・ミラーが作曲、その後ミッチェル・パリッシュが作詞しています。グレン・ミラーは1904年3月1日、アイオワ州クラリンダ生まれ。コロラド大学を中退して音楽の世界に入り、やがてニューヨークでトロンボーン奏者・編曲者として売り出します。ベン・ポラック、ベニー・グッドマン、レッド・ニコルスたちと親交を結び、1937年には自分のバンドを結成します。翌年にはRCAのブルーバード・レコードと契約を結び、翌1939年この「ムーンライト・セレナーデ」を録音、その後『茶色の小瓶』、『イン・ザ・ムード』など次々にヒット曲を生み出しました。その後は軍隊に入って慰問用のバンドを結成、各地を演奏して廻りますが、慰問先のロンドンからフランスに向かう途中、グレンを乗せた飛行機がイギリス海峡上で突然行方不明になるという不慮の事故に遭い、40歳という若さで一生を終えました。

でもこの曲について知ろうとするなら、一度映画「グレン・ミラー物語」をご覧になることをお薦めします。かなり古い映画ですが、ビデオかDVDで見ることができると思います。グレン・ミラーと愛妻ヘレンの夫婦愛を中心に、俗にミラー・サウンドと言われた曲の数々が誕生していく軌跡を綴った伝記映画ですので、曲もオリジナル・サウンドとして楽しめますし、ルイ・アームストロング、ジーン・クルーパなどのミュージシャンも出演していて、まるでライブを見ているような気分にさせてくれます。


この曲が出来た時のエピソード・・・(映画「グレン・ミラー物語」より)
グレンは妻ヘレンの勧めで作曲を本格的に勉強し直していました。ある時先生であるジョセフ・シリンジャーから作曲の宿題を出され、ピアノに向かって作りかけの曲を弾いていると、ヘレンがそばにやってきます。

「素敵な曲ね」
「宿題の作曲だ。先生に出す」
「楽団用に仕上げれば?」
「それほどいい曲じゃないけどな」
「わたしは好き」
「茶色の小瓶より?」
「やってみなくちゃ」
「ポピュラーになるかな」
「歌詞もつけて、曲名も」
「どう思う?」
「ソフトでロマンチック、月の光のイメージね」
「ムーンライトか、窓辺の恋人たち…」
「あなた、夜中にウチに来たわね」
「パパの銃には驚いた」
「セレナーデもなし」
「そうだな。…セレナーデか。曲名は”月光のセレナーデ”」
「素敵だわ」

映画ではこんな会話が交わされ、この曲が誕生していきます。実際にはグレンがレイノーブル楽団に在団中に『Now I Lay Me Down To Weep』のタイトルで書いた曲が改題されてこの曲になったと言われていますが、こんな会話があってこの曲が誕生したと想像するだけでも楽しいですね。




この映画で主演したジェームズ・スチュアートは1984年、アルバムのノーツにこんなことを書いています。

「1952年のことです。私はユニバーサル・スタジオでジョーン・ドルー、ダン・デュリエと共に『雷鳴の湾』を撮影していました。ある日アンソニー・マン監督から、偉大なるバンド・リーダー、グレン・ミラーの生涯を描く映画で主演を演じる気はないかと聞かれました。心を決めるのに半秒とかかりませんでした。なぜなら、私はグレン・アイランド・カジノ時代から、彼のファンだったのです。プリンストンで彼のバンドの演奏を2回見ていますし、何より彼の音楽が大好きでした」

「私は撮影に入る何ヶ月も前からトロンボーンの奏法を習い始めました。このサウンドトラック盤で偶然主役の演奏をしている著名なジャズ・トロンボーン奏者、ジョー・ユークルに就いて、23曲分の指揮と演奏を音ひとつ漏らさずにマスターしましたが、実際には1個の音符さえ吹いていません。私のトロンボーンから発せられる音があまりにひどかったので、私の吹く音が聞こえないようにマウスピースにコルクを詰めなければならなかったくらいでした」

「グレン・ミラーの音楽は今日に至るまで高い人気を保っています。私は先日30年ぶりで『グレン・ミラー物語』を見たとき、ミラー伝説が生き続けているように、彼の音楽もかつての新鮮さとユニークさを失っていないのにすっかり驚いてしまいました。アメリカ合衆国が第2次世界大戦に参戦したとき、ミラーは国内でナンバー・ワンのバンドを率いていたのにもかかわらず、海外にいる兵士に彼の音楽を聞かせるために空軍に入隊しました。結局グレン・ミラーは母国のために尊い犠牲を払ったのです。悲劇的事故の40周年と生誕80周年にあたり、私はグレン・ミラーに敬意を表するものであります。すばらしきサウンドよ、永遠なれ……」




さてこの曲を取り上げているアーティストですが、ジャズの演奏ではミラー・サウンドがあまりにも浸透しているせいか、取り上げているミュージシャンは少ないようです。ミラーの友人であったベニー・グッドマン、ジーン・クルーパが自身のバンドで演奏している他、テッド・ヒース楽団、ジェームス・ラスト楽団などが演奏しています。ボーカルではフランク・シナトラエラ・フィッツジェラルドバニー・マニロウなどが歌っています。また混声グループ「マンハッタン・トランスファー」のソプラノ担当、シェリル・ベンティンもコーラスをバックに歌っています。グレン・ミラー楽団は時代と共にメンバーが変わっていますが、映画で使われたサウンド・トラック盤はユニバーサル・インターナショナル・ミュージック部が当時のRCA・ブルーバードの録音を忠実に採譜、メンバーも当時のメンバー7人を探し出し、それ以外は当時のオールスター・ミュージシャンを取り揃えて録音したものだそうです。でもこの曲ほど多くのビッグ・バンドで取り上げられる曲は少ないですよね。(最近日本では、高校生バンド、「スイング・ガールズ」が同名の映画でこの曲を演奏していましたが、他に演奏された曲と併せてサウンド・トラック盤が出ているようですよ…)



この曲、実は私にとっても思い出深い曲のひとつです。私が勤務していた会社の社内バンド「Blue Liners」にいた頃、そのバンドのテーマ曲がこの曲だったのです。(グレン・ミラーの真似をしていた??)コンサートのオープニングやダンス・パーティのエンディングなどによくこの曲を演奏していました。譜面もグレン・ミラーのオリジナルに近いもので、今でもこの曲を聴くと自分のパート(トランペット)を一緒に口ずさんでしまいます。曲もスローで(アップテンポの曲は大の苦手で…)、安心して吹ける数少ない曲でした。(^^ゞ その時クラリネットでリードを担当されたのがバンドのコンサート・マスターをされていた我が師匠、高橋先生でした。今はこのバンド、メンバーの高齢化?のため開店休業状態となっています…。(-_-;)


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