September Song





Oh, it's a long, long while from May to December
But the days grow short when you reach September
When the autumn weather turns the leaves to flame
One hasn't got time for the waiting game

Oh, the days dwindle down to a precious few
September, November

And these few precious days I'll spend with you
These precious days I'll spend with you







1938年のミュージカル「キッカボッカー・ホリデイ」に使われた曲で、マクスウェル・アンダーソンが作詞、カート・ワイルが作曲しています。このミュージカルの中でこの曲を歌ったウォルター・ヒューストンはカナダ生れの舞台俳優ですが、歌の方は苦手のようで、作曲担当のカート・ワイルは彼でも歌えるようにとメロディーの組み立てに苦心してこの曲を作ったというエピソードがあります。ミュージカルそのものはそれほどヒットしなかったようですが、ウォルターが亡くなった後、映画「September affair」に彼の歌が使われてリバイバル・ヒットし、その後多くの歌手に歌われてスタンダードになりました。男性歌手ではナットキング・コールフランク・シナトラジョニー・ハートマンメル・トーメ など、女性歌手ではベティ・ロウシェ、ジョー・スタッフォード、ドリス・デイパティ・ペイジ、リナ・ホーン、サラ・ボーンなどが歌っています。インストではアーティ・ショウ、ベニー・グッドマン、ジョン・ルイス、チェット・ベイカー、ズート・シムスなど多くのアーティストが取り上げています。



この曲の歌詞ですが、「5月から12月までの間は長いけれど、9月が近づくと昼がだんだん短くなってくる。11月がやってくる頃には1日がなんて貴重なんだろう。そんな貴重な時間をあなたと二人で過ごしたい」というラブソングです。確かに日の長さがだんだん長くなっていく季節は何となくうれしいものですが、夏が過ぎ、9月に入るとまた日が短くなって一抹の寂しさを感じるものですね。そんな1日が貴重に思える日をあなたと一緒に過ごしたいという季節のうつろいの中での恋心を歌っています。ただでさえ人恋しくなる季節、寂しい思いをするのは季節のせい?それともあなたがそばにいないせい?という逆説的な解釈もできそうです。
上に掲げた詩はコーラスの部分ですが、その前に次のようなヴァースがあります。
(1)
When I was a young man courting the girls
I played me a waiting game
If a maid refused me with tossing curls
I let the old earth take a couple of whirls
While I plied her with tears in lieu of pearls
And as time came around she came my way
As time came around she came
(2)
When you meet with the young men early in spring
They court you in song and rhyme
They woo you with words and a clover ring
But if you examine the goods they bring
They have little to offer but the songs they sing
And a plentiful waste of time of day
A plentiful waste of time
この曲を歌っている歌手の半分ぐらいはヴァースなしで歌っていますが、ヴァースをつけて歌う歌手は(1)か(2)のどちらかをつけて歌っています。フランク・シナトラは几帳面なのか?サービス精神旺盛なのか、両方ともつけて全部歌い上げています。また歌手の好みによって歌詞を少しずつ変えているのもその歌手なりの解釈の違いが出て面白いと思います。



この曲、実は思い出の曲です。私が社内バンドにいた頃、何かにつけて演奏していた曲でした。譜面はイギリスを代表するビッグバンド・アレンジャー、テッド・ヒースによるもので、スィンギーで歯切れの良いテンポ、洗練されたアンサンブルは吹いていて気持ちのいいものでした。バラードで演奏されることの多い曲ですが、もともとは moderately となっていて、ミディアム・スローぐらいの感じでしょうか。我々のバンドの譜面には4分音符=126(4分音符での1分間の拍数が126の速さ)となっていて行進曲よりやや早目に演奏することが多かったです。(だから運動会や野球の応援にも使っていたんですね) 演奏している時は全然意識していませんでしたが、もともと夏の名残を感じながら秋へと移っていく微妙な季節感を恋心と絡めて作られた曲。やはりじっくり聴くのがいいようですね。









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