Tenderly
The evening breeze caressed the trees, tenderly
The trembling trees embraced
the breeze tenderly
Then you and I came wandering by
and lost in a sigh
were we
The shore was kissed by sea and mist tenderly
I can't forget
how two hearts met breathlessly
Your arms opened wide
And closed me
inside
You took my lips you took my love so tenderly
1947年、ウォルター・グロス作曲、ジャック・ローレンス作詞の作品です。 初めはあまりヒットしなかったようですが、トランペットのランディ・ブルックスが率いるバンドでショーティ・シェロックというトランペット奏者が吹いて人気が出始めました。 その後、サラ・ボーン、ローズマリー・クルーニーが歌い、大ヒットとなりました。何とも甘いメロディー、ロマンチックな詩で、多くの歌手や演奏家に取り上げられるスタンダード曲となりました。他にビリー・エクスタイン、アニタ・オデイ、ナット・キング・コール、ジョニー・ハートマン、フランク・シナトラ、ジョニー・マティスといったそうそうたる歌手が歌っています。エラ・フィッツジェラルドとサッチモのコンビや、テネシー・ワルツで有名になったパティ・ペイジもこの曲を取り上げています。
この曲、よく聞くと4分の3拍子でいっているのが多いですけれど、この曲の持つ優しさ、優雅な甘さを表現するのにはやはり3拍子なんでしょうね。ところが「エラ・アンド・サッチモ」では何と途中で4分の4拍子に転調してエラの歌が始まるという離れ業をやっていて、それがまた面白い。サラ・ボーンはスローの2ビート、ジョニー・ハートマンはゆったりとしたワルツという具合にこの曲、色んな人が色んな解釈で歌っていてそういう意味でも聴き比べる楽しさ、面白さが味わえる曲だと思います。
それにしてもこの≪tenderly≫という言葉、辞書では「優しく」「慎重に」とありましたが、どうもこの詩にあるように、You took my lips という大胆な行動をとる時でも、「優しく」、「慎重に」行えばうまくいくもの?なんでしょうか。Your arms opened wide And closed me inside うーん、これはもしかして恋の呪文のようにすごく効き目があって、これ無しには先に進まないようなシロモノなのかも知れないぞ。いったいどうしたらこの呪文をかけられるのでしょうか。それを解く鍵は……、やはりこの歌の中にある、と僕は思うんだけどなぁ。
多くの歌の達人、そして人生の先輩が歌っているこの曲を、今宵はじっくりと聴いてみませんか。(^_-)-☆