Serenade in Blue
When I hear that serenade in blue
I'm somewhere in another world alone with you
Sharing all the joys we used to know
Many moons ago
Once again your face comes back to me
Just like the theme of some forgotten melody
In the albumn of my memory
Serenade in blue
It seems like only yesterday, a small cafe,a crowded floor
And as we dance the night away, I hear you say, "Forevermore"
And then the song became a sigh, forevermore became goodbye
But you remained in my heart
So tell me darling, is there still a spark
Or only lonely ashes of the flame we knew
Should I go on whistling in the dark?
Serenade in blue
1942年の20世紀フォックス映画 『Orchestra Wives』(邦題 『オーケストラの妻たち』)で使われた曲で、作曲ハリー・ウォレン、作詞はマック・ゴードンです。この映画の主題歌として、グレン・ミラー楽団の演奏でレイ・エバールが歌ってヒットしました。グレンはこの時、名アレンジャーと言われたビリー・メイとビル・フィネガンの2人に編曲を担当させるほどの熱の入れようだったようです。(現在のグレン・ミラー楽団の演奏では、ジョー・フランシスが歌っているのが1990年にレコーディングされています。)ハリー・ウォレンとマック・ゴードンのコンビによる曲は他にも何曲かありますが、『Chattanooga Choo-Choo』や『You'll Never Know』『The More I See You』『There Will Never Be Another You』などがよく知られています。当時は他にベニー・グッドマンやトミー・ドーシー、アーティー・ショーなどの楽団もこの曲を取り上げ、ビッグ・バンド・バラードの傑作と言われました。
その後はディック・ヘイムズ、ビリー・エクスタイン、フランク・シナトラ、ドリス・デイ、メル・トーメなど多くの歌手が歌い、インストではテディ・ウィルソン、ジョージ・シアリング、エロール・ガーナー、スタン・ゲッツなどの名演があります。ちょっと変わったところでは、60年代後半に活躍した男女混声ソフトコーラスグループ、ジョニー・マン・シンガーズのコーラスもあり、実は個人的にかなり好みであったりします。ドリス・デイの歌の歌い出しの部分やバックなどでも聞かれるこのようなモダンで緻密なハーモニーは、もしかしたらアメリカ人の得意な表現方法かも知れません。あの世界的に有名なディズニーの映画などでもよく使われていますが、『When you wish upon a star』などはその代表でしょう。あとジャズではありませんが、60年代に大ヒットした『Everybody loves somebody sometime』という曲でもこういうモダンでちょっとロマンティックな香りのするコーラスが使われていた記憶があります。この『Everybody loves〜』のコーラスもジョニー・マン・シンガーズが歌っていたような気がするのですが、もう40年も前のうろ覚えの記憶で、私の中では幻の名盤となっています。
この曲のメロディーのテーマ部分は聞いていて何とも心地よい、安らぎの音程を感じるのに対し、ブリッジの部分の一本調子で退屈な音の繰り返しはこの曲の特徴のようです。しかしこれを退屈といってはいけないようで、作曲家のアレック・ワイルダーはこう言っています。「ブリッジは同じ音の大胆な繰り返しだ。6小節がどれも同じ4つの音群から始まる。が、どの小節も残り2拍は非常に細かい変化を見せる。この変化は単調さを避けるためだが、それだけでなく、変化そのものが最初の2拍の反復を要求しているようにも見える。これはとてもグルービーで、すべての歌手やバンドが好むにふさわしいものだ」と。(中央アート出版社刊『ジャズ詩大全』 第13巻P174 村尾陸男氏訳)
なるほど、確かに残りの2拍の細かい変化を味わうことができれば、決して退屈などとは思わないどころか、”かっこいい”とさえ思えるようになってくる、そうおっしゃっているのです。う〜ん、そういえばそれと同じようなことは他の曲でもありますね。『C ジャム・ブルース』とか『ワン・ノート・サンバ』なんかはメロディそのものがそうだし、あと『Moonlight in Vermont』なんかもこの曲と同じようにブリッジの部分が同じ音の繰り返しになっています。思うに、DTMなどで音を合成してmidiファイルを作ったりするときって、こういう部分はそれこそ退屈になってしまうんでしょうけど、歌手が自分の思いや解釈を歌に乗せるときはもうそんなのは全然気にならなくて、逆にそこに自分の感情を託することでそれこそグルービーになるんでしょうね。もちろん演奏も全く同じことがいえるわけで、そういう意味ではこういう部分を含んでいる曲っていうのはむしろジャズにふさわしい曲ということになるのでしょうか。作曲したハリーさん、退屈だなんて言って失礼致しました。(^^ゞ
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